事業承継から3年、カシス収穫量が3倍増の1,000kgへ
栽培技術の革新でV字回復、ブランド化と観光農園化で次世代農業を拓く

カシス収穫量が3倍増の1,000kgへ

株式会社フジタコーポレーションは、2022年に事業承継したカシス農園において、独自の栽培管理手法と積極的な規模拡大により、2025年には承継当初(2022年)の凡そ3倍となる約1,000kgの収穫量を達成致しました。引き継ぎ時の課題を乗り越え、今後は希少品種の導入によるブランド化、ジャム工房の拡充、さらには地域と連携した観光農園の実現など、6次産業化に向けた取り組みを本格化させ、持続可能な農業経営を目指します。

黒松内カシス

事業承継からの軌跡と成果

2022年、420株のカシス農園を引き継ぎ事業を開始。当初は、栽培経験の不足から挿し木がほぼ全滅するなど多くの困難に直面しました。しかし、失敗を糧に栽培方法を抜本的に見直し、以下の改善に取り組みました。

1. 栽培技術の確立:

・挿し木の方法を、畑に直接挿す「直挿し」から、個別の容器で育てる「ポット栽培」へ変更。これにより、苗木の定着率を78%へと大幅に改善しました。
・マイマイガの大量発生といった害虫被害に対し、適切な駆除と予防策を徹底しました。
・土壌改良を継続的に行い、樹勢の回復と品質向上を実現しました。

2. 生産量の飛躍的増加:

これらの取り組みの結果、収穫量は2022年の322kgから、2023年には334kg、そして害虫駆除に成功した2024年には602kgへと大幅に増加。これは、前任者の最大収穫量であった450kgを大きく上回る記録です。作業効率も向上し、1時間あたりの収穫量は、当初の目標であった1kgに迫る951g(2023年)から、2024年には1.4kgへと飛躍しました。

3. 規模拡大と未来への投資:

株数は引き継ぎ時の420株から、現在は約850株へと倍増しました。2025年にはさらに700株を増殖する計画です。2025年は、これまでの投資と努力が結実し、収穫量は大台となる約1,000kgに達しました。特筆すべきは、自分たちの手で一から開拓・植樹した苗木から、初めて24kgの収穫ができたことで、これは持続的な生産体制が軌道に乗った証です。

カシス生産農園フジタファーム(所在地:北海道後志地方)

今後の事業展開(ファーム農業施策)

生産基盤の安定化を踏まえ、今後は付加価値向上と事業の多角化を推進します。

1. 生産規模の拡大と多様化:

・カシスの作付面積を現在の5aから2ha(ヘクタール)を目標に拡大します。
・遊休農地を開拓し、新たに栗(約1ha/197本)の栽培にも着手します。

2. ブランドの確立:

・現在品種不明であるカシスの価値を最大化するため、ブランド化に着手します。原種に近い希少な古代種の苗木導入を計画しており、独自の付加価値を創造します。

3. 6次産業化の推進(ジャム工房・観光農園):

・ジャム工房:主力商品であるカシスジャムを「北のハイグレード食品」や「野菜ソムリエ協会」が主催する品評会へ出品し、認知度向上を目指します。また、季節のフルーツ(苺、ハスカップ、リンゴ等)と組み合わせたコラボ商品を開発し、品揃えを拡充します。
・観光農園:黒松内町役場や観光協会と連携し、農業体験学習の受け入れや、観光周遊マップへの掲載などを通じて、交流人口の拡大と地域の活性化に貢献する観光農園を目指します。

4. 専門的知見の導入:

・農園経営やブランディングに関する高度な知見を取り入れるため、アドバイザーの招聘を検討しています。

色づき始めた黒松内カシス

ゼロからの挑戦、3年越しの結実 フジタコーポレーションが目指す「農業の未来」

事業を引き継いで3年、試行錯誤の連続でしたが、作物と真摯に向き合うことで、ようやく成果が形になってきました。自分たちで植えた木から初めて実を収穫できた時の喜びは、何物にも代えがたいものです。2024年に前任者の記録を超え、2025年には約1,000kgという大きな目標を達成しました。これは、この土地のポテンシャルと私たちの取り組みが噛み合った結果だと確信しています。今後は、品質と生産量でトップレベルを目指すだけでなく、多くの方に愛されるカシスブランドを確立し、農業の魅力を体験できる場所として地域に貢献していきたいと考えています。

黒松内カシスを使った商品一覧

株式会社フジタコーポレーション(本社:北海道苫小牧市)は、多角的な事業展開を通じて「食」の可能性を追求しています

当社は、自社ブランドである「かつ丼と天丼の、かつてん」の運営をはじめ「ミスタードーナツ」「モスバーガー」「ベビーフェイスプラネッツ」といった有名フランチャイズ店の運営管理も手掛けております。現在、北海道と東北地方を中心に数十店舗以上の飲食店を展開しています。

飲食店の運営に留まらず、北海道黒松内町の食品製造工場「トワ・ヴェール」の運営や、農業・畜産業への参入も積極的に進めています。これにより、外食・小売・食品製造だけでなく、原材料の調達から手掛けることで「食」に関する事業を多角的に展開し、北海道から世界へ向けた事業発信を目指しています。